クルマでいえば「ミニバン」のような家を建てたかった。ボディは普通の「セダン」と同じ大きさなのに、7人乗りで荷物もたくさん積める。そんなミニバンのスペース効率の高さを、家づくりにも応用できないだろうか。私の変な注文に応えてくれたのは、大学で建築を学んで実家に帰ってきた、町場の工務店の若き3代目だった。
●1● 日本の家は全部「セダン」で工夫なし
何しろ土地を決めるまでに5年もかけたので、新築・中古あわせてずいぶんな数の物件を見て回った。そこで思うのだが、いまの日本の戸建て住宅はみんな「セダン」になっている。大手ハウスメーカーのカタログに並ぶ設計図も、近所の建売り住宅の間取り図も、折り込みチラシに並ぶ中古住宅も、基本的な考え方はみんな同じ。1階は玄関ホールから伸びる廊下の片側に和室、反対側に風呂と洗面所、突き当たりにリビング・ダイニングキッチンがある。2階は廊下を囲んで南側に主寝室、北側に2つの子供部屋だ。予算があれば部屋が広くなり、なければ狭くなる。
2階の間取りで見ると分かりやすい。例えばこういうことだ。
○ベンツ
主寝室が10畳に書斎付きで、2つの子供部屋がそれぞれ8畳。敷地面積300平方メートル。
○シーマ
主寝室が8畳で2つの子供部屋がそれぞれ6畳。敷地面積200平方メートル。
○ブルーバード
主寝室が6畳で2つの子供部屋がそれぞれ4畳半。敷地面積100平方メートル。
○サニー
主寝室は6畳だが子供部屋は4畳半1部屋に削り、1階も和室をなくす。敷地面積70平方メートル。
ちなみに1階のLDKもベンツなら30畳、サニーなら10畳半。10畳半というのはリビング6畳にダイニング4畳半という、つつましい組み合わせの合計面積である。駐車場もベンツなら3台分以上、サニーなら小型車限定で何とか1台分を確保する。
日本の家造りは、ベンツと同じ形のクルマを予算に応じて縮小しているようなものだ。同じ「セダン」の設計図で、予算によって部屋が大きくなったり小さくなったりする。どんな家に住めるかは、その人が用意できる予算で決まるのだ。
そんなの、つまらない。カネがない分、頭を使おう。私は「サニー」の予算で「ベンツ」並みの空間を実現するべく、家のミニバン化作戦の協力者を探した。
●2● 3代目若旦那の建築センス
テレビでは有名な建築家が設計したユニークな戸建て住宅を毎日のように紹介している。ミニバン化作戦もああいう先生に頼めばいいのかもしれないが、庶民には無縁の世界のような気がする。ツテもない。
それより、テレビや雑誌に載っているユニーク住宅の要素をうまく取り込んでもらえればよい。
私には100平方メートルの土地に「サニー」を建てる予算しかない。しかし、2人の娘のために子供部屋は絶対に2つ必要だし、家でも仕事をするから書斎も欲しい。じいちゃん・ばあちゃんが遊びに来た時に泊まる1階の和室もここが頭の使い所。・・・・・・ 第2回へ続く。
O様 有難うございます。5話まで大丈夫でしょうか?(笑)さすが新聞記者でもあり、作家さんです。いつも伺うとご家族の仲の良さに私が癒されてしまいます。次回楽しみにしてますのでよろしくお願いします!いつも笑い声の絶えない楽しいご家族に感謝です。
→物件の写真はこちら |